老後の生活費は年金だけでは補いきれないため、2,000万円の自助努力が求められており、サラリーマンではなく起業して少しでも多く収入を得たい考えている人も多いのではないでしょうか?しかし、せっかく起業しても廃業しては意味がないため、実際に起業した人の廃業率がどのくらいか起業前に知っておくことが重要です。
そこで今回は、起業後の廃業率と廃業しないためのポイントについて解説します。
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起業後の廃業率は意外と高い?
起業して自らが経営者になることで、サラリーマンとして働くより多くの収入が得られる、仕事とプライベートの時間を有意義に過ごせる可能性があります。しかし、それはあくまで起業が成功した場合の話で、起業に失敗すればまた元のサラリーマンの生活が待っているまたは就職に苦労する可能性も。
起業が失敗に終わる理由には、以下の3つが挙げられます。
- 資金不足に陥る
- 計画通りの利益が得られない
- 事業拡大による失敗
事業を継続させるにはとにかく資金が必要です。起業してからの数年は、計画通りの利益が得られないこともあり、資金不足を原因に廃業する可能性が高いと言えます。また、起業で成功しても、次に事業を拡大させる際に資金管理に失敗・計画通りに事業が進まないことが原因で廃業に至るケースもあります。
ある程度の顧客を抱えた状態で起業すると、比較的廃業のリスクは低いと言えますが、もし1からスタートした場合にはどのくらいの廃業率となっているのでしょうか?起業1年後・3年後・5年後・10年後の廃業率について詳しく見ていきましょう。
起業1年後の廃業率
経済産業省のHPに掲載されている中小企業白書によると、起業した会社や個人事業などが1年後に存続している生存率は約73%となっています。そこから算出される廃業率は約27%です。
この数値は、起業しても約10人に3人が1年目で廃業するということを意味しています。1年目は起業に向けた下準備のおかげで、万が一事業がうまく軌道に乗らなかった場合でも乗りきれる可能性が比較的高い傾向があります。
しかし、1年目の廃業率が約27%もある背景には、十分な下準備をしないまま見切り発車で起業するケースが考えられます。売上が伸びないことで資金不足に陥ってしまい、結果的に廃業に至ることが要因と言えるでしょう。
起業3年後・5年後の廃業率
続いて起業3年後の生存率を見ると約87%、5年後の生存率は約90%という結果になっています。そこから算出される廃業率は起業3年後で約13%、起業5年後で約10%です。
この数値は、3年・5年を迎えた場合には約10人に1人しか廃業していないということを意味しています。つまり、起業してから3年経過すれば、廃業率がグンと下がるということです。
これは、起業してから土台がしっかり固まってくるまでに3年~5年の期間を要することを意味しています。軌道に乗るまでの資金を1年程度の余裕しか想定していない結果、3年を迎える前に力尽きるケースが大半です。やはり万が一を想定した資金計画を立てることが重要と言えるでしょう。
起業10年後の廃業率
最後に起業10年後の生存率を見てみると約92%という結果になっています。そこから算出される廃業率は約8%です。
この数値は、10年を迎えることができた場合には約10人に1人しか廃業していないことを意味しています。起業してからの期間が長ければ長いほど生存率が高くなっており、事業が安定するまでの期間を乗り切ることができたかという違いがここに現れていると言えます。
ただし、起業から10年を迎えた起業の生存率は約92%という高い数値ですが、1年目から通算した場合における生存率は低くなります。1年目の生存率が約73%、2年目の生存率が約84%…10年目の約92%までを掛けると約26%となります。
起業してから10年間継続して事業に取り組んでいる人は、約4人に1人しかいない状況であるため、いかに起業してから生き残っていくことが厳しいかが分かるでしょう。
廃業しないためのポイント
経済産業省のHPに掲載されている中小企業白書の起業者の生存率から、10年後も廃業せず事業を継続できているのは約26%で、約4人に1人という結果でした。つまり、10年後も安定して事業を続けていくためには、廃業しないための下準備が重要と言えます。
約26%の生き残った人たちはどのような工夫をして廃業せずに生き残ったのでしょうか?廃業しないための主なポイントは以下の3つです。
- 固定費の見直し
- 代替案を考える
- リスクの高いプランを避ける
それぞれのポイントについて見ていきましょう。
固定費の見直し
起業してから廃業に至ってしまう原因のほとんどは資金不足です。そのため、起業してから資金不足に陥らないようにするためにも、起業までにしっかりと資金を貯めておくことが重要です。
また、いくら起業までにしっかりと資金を貯めておくことができたと言っても、何かしらの理由で資金不足に陥る可能性もあります。そのような資金不足に陥らないようにするには、無駄な費用が発生していないか固定費を見直すことが重要です。
例えば、身の丈にあっていない事務所を借りている場合は、あっという間に資金不足に陥る可能性があります。特に2019年度は最低賃金の引き上げ額が過去最高になっているため、人件費の負担も大きくなります。
人を増やす・事務所を大きくすることは後でもできることなので、まずは軌道に乗るまでにしっかりと土台を固めることに力を注ぎましょう。
代替案を考える
起業したからと言って必ず軌道に乗るとは限りません。1年以内に軌道に乗る人もいれば、数年かかってようやく軌道に乗る人もいます。軌道に乗らなかった場合は、そもそもの事業計画に無理があった可能性があります。その事業計画しか立てていなかった場合には、軌道修正をすることもできず結果的に廃業に至ってしまう可能性も。
そのような廃業を防ぐには、事業計画を1つだけではなく、代替案を常に考えておくことが重要です。代替案は1つではなく3つくらい準備することをおすすめします。そうすれば、1つの代替案がうまく行かなかった場合でも他の代替案でリカバリーできる可能性が高くなります。
起業する際は、起業してから数年先までのリスクをよく考えて、しっかり準備を整えてから起業しましょう。
リスクの高いプランを避ける
起業時にうまくスタートダッシュを決められたからと言っても、それがいつまでもうまく続くとは限りません。成功している時は気持ちが大きくなって、事業に過剰な投資をしがちです。
さらなる成功を見込んで投資したものの失敗してしまい、その投資を回収できなくなってしまうというケースはよくあります。事業を大きくするためには、時にリスクの高い勝負を仕掛けなければならない時もあります。しかし、リスクを避けながら手堅く展開することも生存率を高くために重要と言えるでしょう。
まとめ
サラリーマンとして働くより多くの収入、自由な時間を求めて起業しても、成功しなければ意味がありません。失敗した場合にはすぐにサラリーマンに戻ればいいと思っている人もいるかもしれませんが、資金が底を付いているため、生活がかなり厳しくなります。また、再就職できるとも限らないため、しっかりと下準備する必要があります。
起業してから10年事業を継続できているのは約26%で、約4人に1人の割合です。決して生存率は高いとは言えず、廃業率が約74%と高いことを考えると、起業の難しさが表れていると言えます。
10年後も安定した事業を続けていくためにも、廃業に至らないためのポイントをしっかり抑えながら起業しましょう。
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