起業後の健康保険はどうする?起業後の健康保険について解説

サラリーマンとして働いている場合は、会社が健康保険の加入に必要な手続きや支払いを代わりに行ってくれることから、保険や年金についてよく分からない人も多いと思います。しかし、起業した場合にはそれらの手続きを全て自分で行わなければならないので注意が必要です。

そこで今回は、起業後の健康保険はどうするのか、健康保険を含む社会保険の加入について解説します。

起業後の健康保険は自分で加入する

起業後の健康保険は自分で加入する

サラリーマンとして会社に勤めている場合には、就職時に一度手続きを済ませてしまえば、後は会社が健康保険に必要な手続きや支払いなどを行ってくれます。そのため、どのような仕組みになっているのかあまり分からないという人も多いと思います。

しかし、勤めていた会社を辞めて起業する場合には、会社で加入していた健康保険から退会しなければなりません。退会後は、再度自分で加入手続きを行うことになりますが、社員が自分だけの会社であれば「加入しなくてもいいのでは?」と思っている人も多いのではないでしょうか?

健康保険法第3条・厚生年金保険法第9条によると、適用事業所に使用される者は法人の代表者であっても法人から報酬を受けている場合は使用される者になります。つまり、社長一人だけの会社でも、健康保険に加入しなければならないので注意が必要です。

社会保険の種類と目的

社会保険の種類と目的

起業した場合には、健康保険に新たに加入しなければならないだけでなく、健康保険を含む社会保険に加入する必要があります。社会保険とは、国や地方公共団体が主体で運営・管理している社会保障制度のことです。社会保険は大きく以下の5つに分類されます。

  • 健康保険
  • 厚生年金
  • 雇用保険
  • 労災保険
  • 介護保険

それぞれがどのようなものなのか見ていきましょう。

健康保険

健康保険とは、労働者やその扶養者に適用される公的医療保険制度です。病気やけがなどが生じた時に、それらの治療費や病気やけがによって休業または死亡した時に備えるためのものです。

大手企業は独自の保険組合を組織しており、中小企業は全国健康保険協会(協会けんぽ)、公務員は共済組合に加入します。サラリーマンとして働いている場合にはこれらの保険に加入しますが、起業してこれらの保険から退会した場合は、自分で会社を設立してこれらの保険に加入するか、国民健康保険に加入するという選択肢から選択することになります。

厚生年金

厚生年金とは、労働者を対象としている公的年金制度です。厚生年金に加入していない人も国民年金(基礎年金)には必ず加入しています。反対に厚生年金に加入している人は、厚生年金に加えて国民年金も上乗せされるため、老後にもらえる年金の額が大きくなります。

金融庁の審議会によると、少子高齢化の影響で年金だけでは老後の生活費が不足するため、老後を迎えるまでに不足分の2,000万円の自助努力が求められています。加入していない期間があると、後で対応が大変になる可能性があるので注意しましょう。

雇用保険

雇用保険とは、民間企業の従業員に対して適用される保険制度です。会社の経営が悪化して経営破綻した場合などに、失業した従業員が再就職できるまでの一定期間、失業手当を支給します。

労災保険

労災保険とは、民間企業の従業員とその扶養者に対して適用される公的保険制度です。勤務している従業員が業務に従事している際または通勤時に負傷または疾病、障害、死亡などに至った場合に、保険金が支給されます。

介護保険

介護保険とは、40歳以上の人が加入対象で、高齢化・介護の長期化・核家族化に対応するために設けられた保険です。特定疾病などによって介護が必要と認められた時は、該当する要介護基準に合ったサービスを受けられます。

健康保険の任意継続

健康保険の任意継続

サラリーマンとして働いている場合は、これらの社会保険の管理を会社が行っているため、気にする機会がないと思います。しかし、起業した時は、これらの社会保険の加入手続き・支払いなどが必要になるので時間と手間がかかります。

また、かかるのは時間と手間だけではありません。協会けんぽなどの健康保険の場合には、扶養という概念があることから扶養家族も含めて保険料が1人分で済むというメリットがあります。しかし、起業する際に、国民健康保険に切り替えてしまうと扶養家族1人1人に対して保険料がかかるため、費用負担も大きくなります。

そこで登場するのが健康保険の任意継続です。健康保険の任意継続とは、独立した後に個人事業主やフリーランスになる時に、例外的にサラリーマンの頃に加入していた健康保険に引き続き加入できるという制度です。2ヵ月間加入していた場合には、退職後も最大2年間以前の健康保険に加入できます。

健康保険の任意継続はどのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか?健康保険の任意継続のメリットとデメリットについて見ていきましょう。

任意継続のメリット

起業した個人事業主やフリーランスが加入する国民健康保険の保険料は、年間の収入額と扶養家族の人数によって異なります。扶養家族の人数が増えるほど、保険料の負担が大きくなるという仕組みです。

サラリーマンとして会社の協会けんぽなどの健康保険に加入している時は、全員が扶養に入ると1人分の保険料で済みます。しかし、国民健康保険に変わると、扶養家族の人数分の保険料が上乗せされるので負担が大きくなります。ところが、任意継続では、加入していた健康保険が引き継がれるため、扶養者に対して保険料がかかることはありません。

扶養家族の収入が扶養の範囲内であれば、引き続き家族を扶養に引き続き入れられるため、保険料の負担を抑えられます。起業時は何かと資金が必要になることが多いため、少しでも支出を抑えられることは大きなメリットと言えるでしょう。

任意継続のデメリット

協会けんぽなどの健康保険は、扶養家族がいても1人分の保険料で済むというメリットがありましたが、1点注意しなければなりません。それは、会社に勤務していた時は、会社と保険料を折半で負担していましたが、任意継続では会社との折半ではなくなるということです。

報酬によって社会保険料の金額は異なるので一概に言えませんが、単純に考えると以前と比べて保険料が2倍になります。そのため、年収・扶養家族の人数が少ないといった時は、任意継続より国民健康保険に切り替えた方が保険料の負担を抑えられる可能性があります。

また、任意継続は、保険料の納付が一度でも遅延すると継続できません。さらに任意継続を希望する場合には、退職後20日以内に手続きをしなければ、任意継続できなくなります。任意継続の方が良いのか、国民健康保険に加入した方が良いのか市区町村に問い合わせて確認するなど、スムーズに手続きを進めましょう。

まとめ

まとめ

サラリーマンとして会社に勤めている時は、最初に健康保険の手続きを済ませてしまえば後は会社が手続きや支払いをしてくれます。しかし、起業した場合は、これらの健康保険に必要な手続きを全て自分で行わなければなりません。

会社に勤めている時の健康保険は会社と折半で負担しています。しかし、起業後は折半ではなくなるため、任意継続を選んだ場合でも国民健康保険を選んだ場合でも保険金の負担が大きくなります。

起業時は何かと金銭的な負担が大きいため、少しでも支出を抑えるために任意継続の方が良いのか、国民健康保険に加入した方が良いのかをよく考えてから加入しましょう。

Next : »
Prev : «