起業を予定している人の中には、起業1年目でどのくらいの売上を達成できるものなのか気になっている人も多いのではないでしょうか?勤めていた会社を辞めて起業する場合は、サラリーマンの頃のように安定した収入が保証されないため、1年目でもある程度の売上を確保できなければ継続することがなかなか厳しいと言えます。
そこで今回は、起業1年目の売上はどのくらいか、起業1年目で失敗しないための方法を解説します。
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起業1年目の売上は少ないのが一般的
「起業1年目から軌道に乗せることによって大きく利益を出したい」と思った人も多いと思いますが、1年目から大きく利益を出すことはできるのでしょうか?
例えば、設立から2年という早さで東証マザーズ上場を果たしたサイバーエージェントの初年度の売上は2,000万円、同じく東証マザーズに上場したリブセンスの初年度の売上は500万円と言われています。
「思っていたよりも少ない」と感じている人も多いと思いますが、これはあくまでも会社の売上であって経費などを差し引いていません。では、なぜ起業1年目の売上は少なくなってしまうのでしょうか?起業1年目に売上が少なくなる主な理由は以下の3つです。
- 開発に資金を費やしているため
- プランが煮詰まっていない中で起業しているため
- 会社の認知度が低いため
それぞれの理由について詳しく見ていきましょう。
開発に資金を費やしているため
自分たちの商品やサービスをより良いものにするためには、開発に時間だけでなく資金を費やす必要があります。開発に時間がかかりすぎると、起業したものの売るものが全くないという事態に陥る可能性もあります。それが続くと、起業前に準備した資金が少しずつ底をつきてしまい、心理的にも経済的にも厳しくなるので注意が必要です。
特に1年目は2年目以降に安定した需要を築くために開発費が多くかかる傾向があります。そのため、どうしても起業1年目の売上は少なくなりがちと言えるでしょう。
プランが煮詰まっていない中で起業しているため
起業までに試行錯誤を重ねてようやく起業しても、実際に起業してみると起業前の議論がただの机上の論で実体に合わせてプランを練り直さなければならない場合があります。
「何が足りないのか」「顧客が求めているものは何なのか」などを再度1から見つけながら手探りで経営していく日々もあります。プランが煮詰まるまでは、業務に取りかかることができないため、売上低下の要因になってしまいます。
開発の場合と同様、プランを煮詰めることは2年目以降の会社の売上につながるので重要ですが、できる限り起業までの試行錯誤であらゆる事態を想定しておきましょう。
会社の認知度が低いため
商品開発が完了してプランが煮詰まっても、会社の認知度が低い起業1年目は売上が低下します。そのため、少しでも会社の認知度を高めるために営業戦略に力を入れていく必要がありますが、そう簡単に認知度が上がるものではありません。
2年目以降の収穫に備えて、1年目は畑を耕す・種まきの時期と割り切るのが一般的です。このように、どうしても起業1年目の売上は低くなります。
顧客を抱えた状態で起業できる場合は問題ありませんが、基本的に顧客がいない状況からスタートさせることになるため、1年目は試練の年になると言えるでしょう。
起業1年目をうまく乗り切るための方法
起業1年目は、会社の売上が安定しないので試練の年になるということは分かりましたが、起業1年目をうまく乗り切るための方法はないのでしょうか?会社が起業1年目をうまく乗り切るための方法として以下の4つが挙げられます。
- 十分な資金を用意する
- 将来のキャッシュフローを正しく把握する
- 運転資金をスムーズに確保する
- 取引条件をしっかりと確認する
それぞれの方法について詳しく見ていきましょう。
十分な資金を用意する
1つ目は十分な資金を用意することです。起業を検討している人の中には、起業前にかかるコストは想定できていても、起業してからいくらコストがかかるか想定できていない人も多くいます。
例えば、起業前には事務所・店舗の契約費用、内装工事費用、ホームページの制作、備品といった費用が考えられます。しかし、いざ経営を始めると、売上を回収できるまでに時間がかかってしまい、売上を伸ばすために必要な広告費といった運転資金が底をついてしまう可能性があるので注意が必要です。
起業する際だけでなく、会社を維持するだけでもある程度費用がかかるため、先を見越してしっかりと資金繰りを検討することが重要と言えるでしょう。
将来のキャッシュフローを正しく把握する
起業で特に注意しなければならないのが将来のキャッシュフローです。資金は会社経営で人間の血液のように欠かせない重要な役割を担っています。最低でも3ヵ月先まで資金を足りるかどうかを考えながらキャッシュフローを練っていくことが重要です。
仕入れや人件費は、先に支出が生じるものの、売上として回収できるまで時間差があります。商品やサービスが好調で、利益が出ているように見えていても資金がショートしてしまう可能性があります。
普段は使わない資金を万が一に備えて残しておくことも、継続的に安定した経営を続けるために重要と言えるでしょう。
運転資金をスムーズに確保する
将来のキャッシュフローを把握した結果、自己資金だけで乗り切れない状況であることが分かった時はどうすればいいのでしょうか?このような状況では、ただ待ってても事態は改善しないため、早めに資金調達に向けて動くことが重要です。
資金調達の方法として、出資を受けて増資する、知人・親族などから個人的に借り入れるといった方法が挙げられます。他にも、日本政策金融公庫の融資を受ける、自治体で行う信用保証協会の保証付き創業融資を受けるという手段もあります。
いずれの方法もすぐ融資が受けられるというわけではありません。資金調達には、最低でも1ヵ月~2ヵ月程度の期間を要します。キャッシュフローに問題があると感じた時は、すぐ資金調達に向けて動くようにしましょう。
取引条件をしっかりと検討する
仕入れや人件費は先に支出が生じる一方で、売れたとしても売上として回収できるまでに時間がかかることが資金ショートの原因の1つでした。しかし、これらは取引条件を見直すことで改善が期待できます。例えば、支払い期日をいつにするか、前払いに変更できないかなど、売上代金を回収するタイミングを有利になるように調整するなどです。
他にも、仕入れや経費などの支払条件を見直すという方法もあります。例えば、前払部分を減らして完成・納品してから支払う条件などに変更するなどです。そうしておけば、支出と収入の時間差が生じにくいため、継続的に安定した起業につなげやすいでしょう。
まとめ
起業1年目は、開発に力を入れている・プランの練り直しが生じる・会社の認知度が低いといった理由で売上が低くなるのが一般的です。起業1年目は、2年目以降の収穫に備えて、1年目は畑を耕す・種まきの時期と割り切ることも重要ですが、売上が低いことで安定した事業の継続が困難になっては意味がありません。
そのため、起業1年目に安定した事業を継続させるためにも十分な資金を用意する・将来のキャッシュフローを正しく把握するなど事前に対策を練っておくことが重要です。売上が伸びないことで、損失が拡大して取り返しがつかなくなる前に、早めに対策を練りましょう。
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