営業の仕事をしている人の多くは、入社した時の研修や上司から営業に活用できる心理学について基本的なことを学ぶでしょう。
今回は、営業担当として活躍している方にぜひ知っておいてほしいシーン別の心理学の知識についてご紹介しています。基本的なものから知っておくとさらに営業の効果を高めることができるものまでご紹介しているので、ぜひ一度ご確認ください。
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営業として活躍するために・・・まずは知っておくべき心理学の知識
返報性の原理
人間は、相手にしてもらったことを返さなければいけない、という気持ちが働き、この心理のことを「返報性の原理」と呼びます。営業として活躍するためには、返報性の原理の中でも【好意の返報性】を意識しておくことが重要です。
営業をかける相手に好意的な気持ちをもって接することで、あいてもあなたに対して何か良いことをしなければならない、という心理状態になるでしょう。好意の返報性を上手に活用することは営業担当として成功するための基本です。営業として好意の返報性を活用していくためには、日頃から営業先に感謝の気持ちを伝えたり、困っていることがあれば手助けをしたり、などの心がけが大切です。日頃からアピールしておくことで、お客様が「自分も何かしてあげなくては」という気持ちをもってくれるようになるでしょう。
メラビアンの法則
普段の生活で、初対面の人の印象は見た目から判断されることが多いでしょう。特に、営業担当の方は初めての訪問先に行く際、相手はあなたのことを全く知りません。人を見た目で判断することはあまり良いことではありませんが、人間は人のことを判断する場合、見た目訳60%、話し方38%、会話の内容7%の基準であることがほとんどです。もちろん、話し方や会話の内容があなたの印象に全く関係なく、見た目だけが大切、ということではありません。
しかし、営業担当としてより多くの契約をとったり、商品を販売したりするためには、見た目も大きく関係してしまうのです。TPOをわきまえた服装で、清潔感のある外見の人と、だらしない服装で髪がぼさぼさの人、どちらの話を聞きたいですか?営業として成功するためには、見た目がすべてではありませんが、まずは外見を清潔にして姿勢を正す、など相手に話を聞いてもらうための準備をしておくことが大切です。
ハロー効果
普段の生活の中やビジネスで、相手のことを判断する際にハロー効果が発生していることが多々あります。一つの大きな良い部分がある場合、その他の部分も実際より良く見えてしまうことはありませんか?
例えば、見た目があまり清潔ではないことで良い印象をもっていなかった相手が、資産家であることを知ったとき、相手の見た目があまり気にならなくなった、というケースもハロー効果の一つです。もちろん、外見だけでなく金銭的な余裕や身に着けている時計、学歴などによって相手の他の部分も実際よりも良く見えることがあるでしょう。
しかし、ハロー効果には「ポジティブハロー効果」と「ネガティブハロー効果」があり、1つの物事に対して悪印象を持った場合、その物事に関連した事象すべてが実際よりも悪く見えてしまうことがあります。販売している商品がとても良い商品であっても、営業担当の服装がだらしなく、清潔感がない場合、商品自体もあまりよいものには見えないでしょう。ビジネスではハロー効果を上手に活用していくことが大切です。
バンドワゴン効果
バンドワゴン効果は身の回りの商品に多く活用されています。流行っているもの、売れている商品を自然と「良い商品だ」と思ってしまったことはありませんか?
実際に、大ヒット商品です!と書かれたものや、ランキング1位!などの言葉は販売戦略としてよく使用されていますよね。流行っている商品を良いものである、と判断する心理をバンドワゴン効果と言い、自社の商品を販売するための戦略としても活用することができます。営業として基本的な心理学の知識なので、どのようなフレーズでバンドワゴン効果を発生させることができるのか、を事前に調べておくことも大切です。
初回の営業!訪問先などで使える心理学の知識とは?
ドアインザフェイス
ドアインザフェィスは、「譲歩」を上手に活用することで交渉を成させる方法です。まず、販売したい商品の値段を1000円で販売したかった場合、お客様に5000円で買ってほしいと提案します。
しかし、元は1000円の商品です。お客様は5000円では高すぎる、と感じてしまい「5000円は高いから少し値下げしてほしい」と言うでしょう。そこで、あなたは1000円に値下げします。お客様は、「値下げしてもらったから購入しようかな」という心理状況になり、営業が成
功する可能性が高くなるのです。実際には元々販売したかった1000円で商品を販売することができ、お客様は自分の意見が通った、という達成感をも味わうことができる、というメリットがあります。このように、価格などの譲歩をした、というアピールをするドアインザフェイスを活用した営業方法は初回の訪問でも多いに活用することが可能なので、身に着けておくことをお勧めします。
注意点としては。同じ相手に多用しない、ということです。あまりにも毎回ドアインザフェイスによる効果を期待して多用してしまうと、相手は「またうまく言いくるめようとしている」と思うようになり、あなたに警戒心を抱いてしまうかもしれません。
フットインザドア
フットインザドアは訪問販売などの場面で多く活用されている心理学を活用した営業方法です。まず、小さな要求をして受け入れてもらうことで、徐々に大きな要求をし、最終的に販売したかった商品を購入してもらう、という方法です。
人間は、自分の行動に一貫性を持ちたい、という心理が働きます。よって、最初の小さな要求にイエスと答えてしまうと、つぎの要求にもイエスと答えたい、という心理が働くため、要求を徐々に大きくしていくことで最終的に大きな要求を受け入れてもらいやすいでしょう。
フットインザドアを活用した営業を成功させるためには、まずは話を聞いてもらう、という要求をすることから始めてみてください。
ローボールテクニック
最初に提示した好条件の要求を受け入れてもらい、受け入れてもらった後に悪条件を少しずつ提示し、結果として自分が受け入れてほしかった条件をすべて受け入れてもらう、という方法です。ある条件を一度受け入れてしまった場合、後から少し条件を変えられたとしてもなかなか断ることができない、という心理状況を活用しています。
しかし、ローボールテクニックを活用して営業をした場合、相手は「騙されている」と感じてしまう可能性があるので、活用するさいには注意が必要です。
営業先の会話で使える心理学の知識
ラポールトーク
ラポールとは、相手との信頼関係のことを指しています。営業担当として成果をだすために、契約や商品の内容が良いことはもちろん重要ですが、お客様との信頼関係があるかどうかは非常に大切なカギとなります。ラポールを築くためには、相手が「自分のことを知ろうとしてくれている」「自分の話を聞いてくれている」と感じることが第一歩です。
ミラーリングやバックトラッキングなど、ラポールを築くための手法を知って実践してみましょう。ラポールを構築するための方法は次の記事をごらんください。
信頼関係は時間をかけて築くものだ、という考えがありますが、ラポールトークを上手に活用することができると、初対面の相手であってもあなたのことを信頼してくれるようになるでしょう。信頼している人が販売している商品であれば、良い商品だろう、と思ってもらうことができ、購入してくれる可能性も高くなります。
相づち
相手の話にうなずくことで、同じ気持ちであることをアピールする方法です。あまりにもわざとらしく相槌を打つ必要はありません。できるだけ自然に、ラポールトークと組み合わせて実践することで大きな効果を得ることができます。自分の考えに賛同してくれている、という風に相手が思うことであなたへの信頼度が高くなるでしょう。
イエスバット・イエスアンド法
イエスバット法は相手の話を一度受け止めて、そのあとに「しかし~」というように自分の意見を表す方法です。
A「この商品の値段は少し高いなあ・・・」
B「そうですよね、確かに少々お高く感じますよね・・しかし、この商品には●●のような特典がついているので~・・・」
という会話の方法で、これまで多くの営業戦略として活用されてきました。
しかし、イエスバット法を多用してしまうと、相手は自分の話を否定されていると感じ、あなたに対して不快感を抱いてしまうかもしれません。イエスバット法を多用するよりは、相手の話を一度受け入れて、後に自分の意見を付け加える、イエスアンド法の活用をお勧めします。イエスアンド法では、相手の話を聞いて「ですから、つまり」などの言葉を利用して話を続けていきます。
A「この商品は少し高いなあ・・・」
B「そうですよね、少しお高く感じるかもしれません。実は、少々お値段が高いのには理由があって・・・」
という風に、相手の話の延長、という意識で会話をしましょう。
相手の気持ちを理解している、ということを示したのちに商品の説明を付け加えることで、相手は「確かに、そのような機能がついているのならこの価格でも納得できるな・・」と思ってくれる可能性が高くなります。
オープンクエスチョン・クローズドクエスチョン
営業をする際には、上手に質問をすることがとても大切です。営業のための質問の基本として【オープンクエスチョン】【クローズドクエスチョン】があるので、それぞれを目的に応じて活用していきましょう。
【オープンクエスチョン】は、相手の答えを限定しない質問をすることで会話を広げていく方法です。
答えを限定しない質問をすることで、相手がどのようなことに興味を持っているのかを知り、相手に合わせて話題を拡大していくことが可能です。
【クローズドクエスチョン】は、相手がYES・NOのどちらかで答える質問のように、回答が限定されている質問をすることで、端的に相手の気持ちや情報を知ることができます。営業でよりよい成績を出すためには、相手の情報をうまく引き出すための質問を上手にすることが大切なので、お客様にあう前にあらかじめ質問の内容を決めておいても良いでしょう。
プライミング効果
これまでに経験したこと、耳にしたことがある話に対して興味を持つようになる心理のことをプライミング効果と言います。営業やビジネスの場面で、上手に質問をすることで、相手に商品に興味をもってもらうことができるでしょう。
また、商品のイメージだけでなく、事前に自分のイメージについても知っておいてもらうことで営業活動はよりスムーズに進行するので、多いに活用していきたい効果の一つです。
営業だけじゃない!プレゼンにも活用できる心理学
セルフマニピュレーション
自信に満ち溢れた人のプレゼンはなぜか聞き入ってしまいませんか?
自信がなく、おどおどしている人にプレゼンされた場合、プレゼンの内容が入ってこない、ということもあるでしょう。実際に、自信のあるはきはきとしたプレゼンをする人の方が成果を出しているのです。プレゼンや営業をする際に緊張してしまうことで、失敗してしまった経験はありませんか?
自信に満ち溢れたプレゼンや営業をするためにはセルフマニピュレーションを意識することが大切です。緊張してしまうことは仕方がないことですが、いくつかのポイントを押さえてセルフマニピュレーションを意識することで、自信がある人、という印象を与えることができます。簡単に始めることができるセルフマニピュレーションのポイントは
・大きな声で話す
・早口にならない
・姿勢を正す
・相手の目をみる
などがあげられるでしょう。自分に始めることができそうなものから取り入れてみましょう。
セルフプレゼンテーション
セルフプレゼンテーションをすることで、「こんな風な人だと思ってほしい」と考えている理想通りに相手にも「こんな風な人だ」と思ってもらうことが可能になります。簡単に言うと自己紹介をする、ということなのですが、話し方や声の大きさ、服装など全部を含めた自己紹介であることを意識してください。
真面目であることを特にアピールしたい場合に、あまりにも派手な格好をしてしまうと、実際に真面目な性格であったとしてもなかなか相手に伝えることが難しくなってしまうかもしれません。
バーナム効果
血液型占いで自分の性格をあてられたことがある!という経験はありませんか?A型だから几帳面、というような内容であっても、自分に当てはまっている!と感じることがありますよね。多くの人に当てはまる、一般的な内容であるにもかかわらず、「あなたはこういう性格で
す」とあたかも自分だけに向けられたかのように言われると、「確かに自分のことだ!」と思い相手が言っていることを信じてしまうようになることをバーナム効果と言います。
営業やプレゼンをする際にも、相手に「自分に当てはまる!」と思ってもらい「この人に頼めば改善できる!」と思ってもらうことができると、バーナム効果を活用することができているといえるでしょう。
クロージングと営業後に活用できる心理学
片面・両面提示
さて、これまで営業やプレゼン、お客様との会話などで活用できる心理学についてご紹介してきましたが、会話や商品についての説明がいかに上手であっても、クロージングが上手にできていなければ、結果として成約には至らないでしょう。クロージングをうまくするために活用できる心理学的なテクニックに【片面。・両面提示】というものがあり、商品などの良い面だけでなく、悪い面もきちんと伝える、ということで相手から信用してもらって営業の成果を上げることが可能になります。もちろん、商品の悪い部分を相手に伝えることは気が進むことではありません。
しかし、きちんとマイナス面についても言及しておくことで、あなたの誠実さをアピールすることができるのです。
スリーパー効果
前に聞いたときには信用できなかった内容であっても、時間がたつと「もしかしたら・・・」と思うようになった経験はありませんか?時間が経つにつれて信用の度合いが変化することをスリーパー効果と言います。商品の効果や良い点について、複数回に分けて相手に伝えのち、しばらく時間をおくことで、相手は「あれ?あの商品なかなか良い商品だったんじゃないか・・」と思うようになります。
営業として、相手からの返答はすぐにでももらいたいものですが、一度時間をおくことで良い結果を得ることができる可能性もあるので、スリーパー効果を活用してみることもオススメです。
まとめ
今回は営業の際に活用できる心理学やその効果についてご紹介しました。ビジネスでも心理学を使うなんて。なんだか詐欺みたい、と思ってしまうかもしれませんがそんなことはありません。多くの営業担当の方は、常に心理学の知識を応用しています。いかに自然に心理学による知識を活用することができるか、という点が成果をだすために重要なポイントともいえるでしょう。
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